ストレスで起こる腹痛の代表的な病気3選を医師監修で詳しく紹介
ストレスを感じると、お腹が痛くなったり、下痢や吐き気が続いたりすることはありませんか? 実は、こうした症状の背景にはストレスによって引き起こされる胃腸の病気が隠れていることがあります。
特に「急性胃腸炎」「ストレス性胃炎」「過敏性腸症候群(IBS)」は、いずれも精神的な負担がきっかけで腹痛を伴うことが多い疾患です。 これらの病気はどれも自律神経の乱れが深く関係しており、ストレスを抱えやすい現代人に多く見られます。
この記事では、ストレスが原因で起こる腹痛の代表的な3つの病気について、それぞれの特徴・原因・注意点を詳しく解説します。
ストレスによる腹痛が起こる病気
ストレスが原因で腹痛が起こる病気は以下のようなものがあります。
・急性胃腸炎
・ストレス性胃炎
・過敏性腸症候群
この記事ではこれらの病気がどのようにして腹痛を起こすのかについて解説します。
急性胃腸炎
急性胃腸炎とは何らかの原因で胃腸の粘膜に炎症が起こる病気です。 ほとんどがウイルスや細菌などの感染によるものですが、ストレスが原因で起こることもあります。
ストレスを受けてから短時間で腹痛が起こるのが特徴です。 また胸やけや吐き気、下痢などの症状が生じることもあります。
ストレス性胃炎
ストレス性胃炎とは長期間のストレスが原因で胃の痛みが起こる病気です。 ストレスにより自律神経が刺激されると胃酸が過剰に分泌されます。
これにより胃酸などから「胃粘膜」を保護する作用のある「胃粘液」が減少します。 また胃の血流が悪くなり、はたらきが弱まります。
この他、ストレスを受けると「コルチゾール」というホルモンが増加することでも胃酸の分泌が増え、胃粘液の分泌が低下します。
これにより胃の粘膜が荒れ、胃痛を引き起こすのです。
逆にストレスにより胃のはたらきが弱くなることもあります。 この場合、消化不良を引き起こし、胃もたれや便秘につながる可能性があります。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群とは、腸に炎症やがんなどの病気がみられないのに腸のはたらきに異常が生じる病気です。 日本では20~30歳代に多く[1]、有病率は約10%と推定されています[2]。 ストレスが関与しているとされていますがはっきりとした原因は分かっていません[1]。
腹痛や下痢、便秘といった不快な症状が1カ月以上続きます[1]。 ストレスで症状が悪化する特徴があり、放置すると日常生活に支障を来す可能性が高いといえるでしょう。
[1] 中間法人 日本臨床内科医会「過敏性腸症候群」
[2] 日本消化器学会「機能性消化管疾患診療ガイドライン 2020-過敏性腸症候群(IBS)」
まとめ
いかがでしたでしょうか。 ストレスによる腹痛の背景には、急性胃腸炎・ストレス性胃炎・過敏性腸症候群(IBS) などの疾患が隠れていることがあります。 これらはいずれも自律神経の乱れやホルモンバランスの変化が影響しており、心身のストレス状態が続くことで発症・悪化することが多いです。
ポイントを整理すると以下の通りです:
急性胃腸炎:短期間の強いストレスがきっかけ
ストレス性胃炎:長期的ストレスにより胃酸と胃粘液のバランスが崩れる
過敏性腸症候群:腸の機能異常で慢性的な腹痛や下痢が続く
ストレスを軽視せず、症状が長引く場合は医療機関で相談することが大切です。
Q&A
- Q急性胃腸炎はストレスでも起こる?
- A多くは感染ですが、ストレスが原因のことも。短時間で腹痛や胸やけ、吐き気、下痢が出ます。
- Q ストレス性胃炎の仕組みは?
- A自律神経の影響やコルチゾール増加で胃酸↑・胃粘液↓・血流↓。粘膜が荒れて胃痛が出ます。
- Q 過敏性腸症候群(IBS)はどんな病気?
- A 器質的異常がないのに腸機能が乱れる病気。20〜30代に多く、有病率は約10%と推定。
- Q IBSの症状の特徴は?
- A腹痛や下痢・便秘が1カ月以上続き、ストレスで悪化。放置すると生活に支障が出やすいです。
ストレスによる体の不調を改善する3ステップ
まずは不安や課題に気づく
ストレスの影響を理解しよう。
解決方法を知る
ストレス改善の基本を学ぼう。
あなたに合う方法を選ぶ
自分に合う解消法を取り入れよう。