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ストレスで下痢になるのはなぜ?過敏性腸症候群との関係を詳しく解説

  • ストレスによる体の不調を改善

「ストレスでお腹を壊しやすい」「緊張するとすぐに下してしまう」——そんな悩みを抱える人は少なくありません。 実は、心理的なストレスが腸の働きに影響を及ぼすことは科学的にも明らかになっています。

この記事では、ストレスが原因で下痢が起こる理由を中心に、過敏性腸症候群(IBS)や自律神経の乱れとの関係についてわかりやすく解説します。 心と体のつながりを理解し、腸のトラブルに悩まされないための第一歩を踏み出しましょう。

ストレスで下痢が起こる理由

「下痢」とは一般的に水分が多く、液状かそれに近い状態の便をたびたび排せつする状態のことをいいます。 「ストレスを感じるとおなかを下す気がする……」 「どうして気持ちの問題が体調に出てしまうんだろう?」 このようにお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

脳の中には心をつかさどる領域と体の状態を調節する領域が存在し、互いに密接に関わり合っています。 そのため心理的なストレスを受けると体にも影響が及んでしまうことがあるのです。 ストレスによる症状にはさまざまなものがありますが、その一つとして下痢が生じる場合もあります。 ここでは、ストレスと下痢の関係についてご説明しましょう。

メモ
心身が互いに影響し合うことを「心身相関」といいます。

過敏性腸症候群

これといって原因がないにもかかわらず下痢や腹痛が長期間続いている場合、「過敏性腸症候群」という疾患の症状である可能性もあります。

過敏性腸症候群とは
腫瘍や炎症などの原因がないにもかかわらず、下痢や便秘、腹痛などを繰り返す病気です。英語では「Irritable Bowel Syndrome」といい、頭文字を取って「IBS」と呼ばれる場合もあります。

過敏性腸症候群の場合、脳から腸に向かう信号と腸から脳に向かう信号がどちらも強くなることが分かっています。 過敏性腸症候群は約10人に1人患者がいるといわれるほどよくある病気で、命に関わるものではありませんが日常生活に支障を来す場合もあります[1]。

原因は不明ですがストレスや不安、緊張などの精神的な負担や疲労、睡眠不足などで症状が悪化するのが特徴の一つです。 過敏性腸症候群は、以下の3タイプに分けられ、突然おなかを下してしまう下痢型は特に若い男性に多いといわれています。

過敏性腸症候群

ストレスは脳から腸に向かう信号を強くし消化器運動に影響を与えるといわれており、不安状態になると腸の収縮運動が激しくなってしまいます。 腸の動きが激しくなると便が腸を通過する速度が高まり、便から水分を吸収できずに下痢を引き起こす場合があるのです。 このとき痛みを感じやすい状態になるのも過敏性腸症候群の特徴です。

[1] 日本消化器病学会「過敏性腸症候群(IBS)

自律神経失調症

また自律神経のバランスが崩れて下痢が引き起こされている可能性もあります。 私たちの体の機能は通常、意思とは無関係にはたらく「自律神経」によって常にベストな状態に保たれています。 食後に胃のはたらきを活発にするなど、消化器をコントロールしているのも自律神経です。 自律神経は互いに相反するはたらきをする「交感神経」と「副交感神経」に分けられ、胃や腸においては交感神経が動きを遅くし、副交感神経が動きを速めるはたらきを担っています。

健康なときであれば交感神経と副交感神経がバランスを取り合ってうまく消化を進めてくれますが、自律神経のバランスが崩れることで胃腸のはたらきが活発になり過ぎてしまう場合があるのです。 このように自律神経のバランスが乱れ何らかの症状が現れている状態を「自律神経失調症」といいます。 自律神経のバランスを崩す直接的な原因を特定することは不可能ですが、ストレスや生活習慣の乱れが間接的に影響しているものと考えられます。 ストレスがかかったり生活習慣が乱れたりしている状態が長く続くと体が耐えきれず自律神経やホルモンのバランスが崩れ、不快な症状が現れてしまうのです。

またその症状がさらなるストレスとなって悪循環が生じてしまうこともあります。 過敏性腸症候群の原因が自律神経失調症にあることも考えられます。 おなかの調子が悪い状態が続いているという方は適宜医療機関を受診するようにしてくださいね。

メモ
自律神経失調症では胃腸の調子が悪くなる他、じっとしているのに動悸(どうき)がしたり、胃腸の調子が悪くなったり、突然体がほてったりといった症状が引き起こされます。症状はさまざまで、その人の体の弱い部分に現れやすいといわれています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。 ストレスと下痢の関係は「気のせい」ではなく、脳と腸が密接につながっているために起こる現象です。 特に過敏性腸症候群(IBS)や自律神経失調症は、ストレス性下痢の代表的な原因として知られています。

主なポイントを整理すると以下の通りです。
・心と体は「心身相関」によって密接に影響し合う
・ストレスは腸の運動を活発にし、便から水分を吸収できなくする
・長期的な下痢が続く場合はIBSや自律神経失調症の可能性も

ストレスを完全に避けるのは難しいですが、まずは体に現れるサインを見逃さず、無理をしない生活リズムを意識することが大切です。

Q&A

Qなぜストレスで下痢になるの?
A脳と腸は密接に連動しており、ストレスで腸の収縮が強まり通過が速くなります。水分吸収が不十分になり下痢が起きます。
Q過敏性腸症候群(IBS)とは?
A炎症や腫瘍がないのに下痢・便秘・腹痛を繰り返す病気です。ストレスや不安、睡眠不足などで悪化しやすいのが特徴です。
QIBSの下痢型は誰に多い?
A下痢型は特に若い男性に多いとされます。命に関わらないものの、日常生活に支障を来すことがあります。
Q自律神経失調症でも下痢は起こる?
Aはい。交感・副交感神経のバランスが崩れると胃腸の動きが過剰になり、下痢などの不調が出やすくなります。

ストレスによる体の不調を改善する3ステップ

  1. STEP 1STEP 1まずは不安や課題に気づく
  2. STEP 2STEP 2解決方法を知る
  3. STEP 3STEP 3あなたに合う方法を選ぶ