ドカ食いを防ぐ4つの実践法!噛む・野菜・たんぱく質・視覚の工夫
ストレスがたまると、つい甘いものや揚げ物に手が伸びてしまう——そんな経験は誰にでもあるものです。
たまのご褒美なら問題ありませんが、日常的に過食が続くと体重増加や健康面が気になってしまいますよね。実は「意思の弱さ」ではなく、ストレスが脳やホルモンに影響し、“食べたくなる仕組み”が働いている可能性があります。
そこで本記事では、噛む回数を増やす、野菜でかさ増しする、たんぱく質をしっかり摂る、食べ物を視界から遠ざけるなど、今日からできる科学的な過食対策をわかりやすく解説します。無理なく続けられる工夫で、ストレスに振り回されない食習慣をつくっていきましょう。
ストレスによる過食への対策
「ストレスで食べ過ぎてしまうのだけど、どうしたら止められるのかな……」
いらいらして思わず食べ過ぎてしまった経験のある方は多いのではないでしょうか。
たまの気晴らしで思う存分食べるのならともかく、毎日食べ過ぎていると肥満なども心配になりますよね。
この記事では、ストレスで思わず食べたくなってしまった際の対策をご紹介します。
噛む回数を増やす
ストレスで食べ過ぎないためには、食品を噛む回数を増やしましょう。 噛む回数を増やし、唾液の分泌量を増やすことで満腹感を得られやすくなるといわれています。
これは唾液に含まれる「アミラーゼ」という酵素のはたらきによるものです。
アミラーゼは糖質をさらに小さな分子である「糖類」に分解します。 糖類の一種である「ブドウ糖」には満腹中枢を刺激し満腹感を生じさせる作用があります。
このため唾液の分泌量を増やし、速やかに糖質を分解させることで、満腹感を得やすくなると考えられるのです。 また、よく噛むと満腹中枢を刺激する「神経性ヒスタミン」と呼ばれる物質の分泌量が増えることも分かっています。
さらに咀嚼は食欲を抑えるレプチンの分泌を促す効果もあるのです。 噛む回数が増えることで、食事のペースがゆっくりになることも重要です。 食事を始めてから満腹と感じるまでには20分以上かかるため、ゆっくり噛んで食べること自体が食べ過ぎの歯止めとなってくれます[2]。
一口30回以上を目標に、意識的に噛む回数を増やしていくと良いでしょう[2]。
[1] 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「酵素の働きと健康効果」
[2] 独立行政法人労働者健康安全機構「ゆっくり食べてみませんか」
[3] 厚生労働省「歯科保健と食育の在り方に関する検討会報告書「歯・口の健康と食育~噛ミング 30(カミングサンマル)を目指して~」」
野菜でかさ増しする
ストレスによる食べ過ぎを防ぐには、食事を野菜でかさ増ししましょう。 野菜は食物繊維を多く含んでいます。
食物繊維の多い食べ物は自然と噛む回数が多くなる傾向にあります。 このため少量でも満腹感を生じさせるといわれており、食べ過ぎの防止に有効です。
また食物繊維は1g当たり0〜2kcalと低カロリーであるのも魅力的です[4]。
ごぼうやれんこんなどは食物繊維が豊富で歯応えがあるので特におすすめです。 また主食を玄米やそば、ライ麦パンなどに変えることでも食物繊維の摂取量を増やすことができます。
この他、加熱してもあまりかさの減らないブロッコリーや生で食べられるトマト、きゅうり、キャベツなども食事のかさ増しに使えますよ。 これらの食品を日々の食事に多く取り入れることで、食べ過ぎが予防できると考えられるでしょう。
[4] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
たんぱく質を多めに摂る
ストレスで食べ過ぎないためには、たんぱく質を多めに摂取しましょう。
たんぱく質は消化に時間がかかるため、胃に長時間とどまる腹持ちの良い栄養素です。 このため満腹感が持続し、食べ過ぎを防ぐことが期待できます。
またたんぱく質を摂取すると「コレシストキニン」というホルモンが分泌されます。 このホルモンには満腹中枢にはたらきかけることで食欲を抑えるはたらきがあります。 たんぱく質は食べ過ぎを抑えてくれる栄養素だといえるでしょう。
見える場所に食べ物を置かない
ストレスでの食べ過ぎを防ぐには、見える場所に食べ物を置かないようにしましょう。 空腹感や食欲は視覚と密接に関係しているといわれています。
これは視覚で食べ物を認識することで、脳が食べ物の存在を予測して消化器官に準備を促すためです。 ついつい食べ物を口にしてしまう方は、買った食べ物を見えない場所にしまうようにしましょう。
またテレビやSNSでおいしそうな食べ物を見ておなかが減ってしまったことのある方もいらっしゃるでしょう。 実際の食べ物でなくても、画像や映像で食べ物を見るだけで空腹感や食欲が増してしまうため注意してくださいね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。食べ過ぎ防止は「根性論」ではなく行動設計です。
噛む:満腹中枢・ヒスタミン・レプチンを活用/食事ペースを遅くする
食物繊維:かさ増し&低エネルギーで満足度UP
たんぱく質:腹持ち+コレシストキニンで食欲抑制
視覚管理:食べ物を「見えない」配置に
Q&A
- Qまず何を変えれば過食のブレーキになる?
- A「噛む回数を増やす」ことです。よく噛むと唾液のアミラーゼで糖が分解され満腹中枢が刺激され、神経性ヒスタミンやレプチンも働いて食べ過ぎを抑えます。
- Q食物繊維は過食になぜ効くの?
- Aかさ増しで噛む回数が増え、少量でも満足感が得られます。しかも食物繊維は低エネルギー(0〜2kcal/g)で、過剰なカロリー摂取を抑えやすくなります。
- Q過食を防ぐためにたんぱく質を増やすメリットは?
- A消化に時間がかかり腹持ちが良い上、コレシストキニンが分泌され満腹中枢に働きかけて食欲を抑えます。
- Q「見える場所に食べ物を置かない」と本当に過食に効果ある?
- Aあります。食べ物の視覚刺激は空腹感を高めます。棚や引き出しにしまい、画像や動画の“飯テロ”視聴も控えると衝動が減ります。
ストレスによる体の不調を改善する3ステップ
まずは不安や課題に気づく
ストレスの影響を理解しよう。
解決方法を知る
ストレス改善の基本を学ぼう。
あなたに合う方法を選ぶ
自分に合う解消法を取り入れよう。