ストレスによる片頭痛を和らげる7つの改善法と生活習慣のポイント
ズキズキと脈打つような痛みが繰り返し起こる「片頭痛」。 ストレスを感じたあとに発症することもあれば、ストレスから解放された瞬間に出てしまうこともあります。
その原因は、神経伝達物質や血管の働きに関係しており、生活習慣や環境の中に隠れた“トリガー”が影響しています。 この記事では、ストレスによる片頭痛の原因と、今日からできる7つの対策を詳しく紹介します。
ストレスによる片頭痛の対策
「片頭痛は自分で対策できるのかな?」 「あまりにもつらい片頭痛を少しでも和らげたい……」 日常生活にも大きな支障の出る片頭痛をどうにかしたいと考える方もいらっしゃるでしょう。
原因がはっきりと解明されていない片頭痛ですが、生活習慣を見直すことで発症の頻度を下げたり症状を和らげたりできる可能性があります。 ただし、どういった要素が片頭痛のトリガーになるかには個人差があります。
このため日頃からどんなときに片頭痛が起こるのかを記録し、ご自身の片頭痛のトリガーを知って避けたりコントロールしたりすることが重要です。 この記事で紹介する対策と照らし合わせ、片頭痛を避けたり和らげたりする参考にしてくださいね。
ポイント1 睡眠不足と寝過ぎを避ける
睡眠不足と寝過ぎはいずれも片頭痛の原因となる場合があるため避けましょう。
どれくらい眠れば良いかは個人差が大きく一概には決められませんが、厚生労働省は6時間から8時間を成人の適正な睡眠時間としています[1]。
ご自身の日中の眠気や体調などを加味した上で、過不足ないように睡眠時間を調整してくださいね。
[1] 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」
ポイント2 節酒・禁煙に取り組む
飲酒と喫煙は片頭痛の原因となるため控えましょう。
アルコールが分解される過程で生じるアセトアルデヒドに血管拡張作用があるため、飲酒によって片頭痛が起こることがあります。
特に赤ワインは片頭痛を引き起こしやすいといわれているため注意が必要です。
また、たばこの臭いも片頭痛の原因となる場合があります。 特に片頭痛持ちの喫煙者は脳卒中のリスクが跳ね上がるとする報告もあるため、早急に禁煙しましょう[2]。
[2] 日本神経学会 北川泰久「片頭痛と脳伷塞」
ポイント3 トリガーとなる飲食物を避ける
飲食物のなかには片頭痛を誘発しやすいものがあります。
トリガーとなる主な飲食物としては、チョコレートやチーズ、赤ワインなどが挙げられます。
またナッツ類や柑橘(かんきつ)類、ソーセージ、ハム、化学調味料などもトリガーになるといわれています。
さらにカフェインを含むコーヒーやお茶、エナジードリンクなども注意が必要とされます。 こうした飲食物のどれがトリガーになるかには個人差が大きいため、ご自身の経験に照らしながら避けるようにしてください。 他にも空腹が片頭痛のトリガーとなる場合もあるため、食事を抜きがちな方は注意しましょう。
一方でビタミンB2を含むレバーや大豆食品、卵、緑黄色野菜、乳製品などとマグネシウムを含む豆腐や納豆、ほうれん草、魚介類などは片頭痛の予防に効果的といわれています。
ポイント4 トリガーとなる環境・状況を避ける
片頭痛は周囲の環境や状況によって起こる場合もあります。
台風や梅雨などでの気圧の低下や天候の変化、湿度、温度差などが片頭痛のトリガーとなる場合があります。
ご自身のトリガーとなる気象や天候の際は、極力外出を控えるなどの対策をとりましょう。
また強い光や街の雑踏、コンサートホールやカラオケなどの騒音、たばこや排気ガス、他人の香水のにおいなどがトリガーとなって片頭痛が起こることもあります。 極力こうした場所や環境を避けたり、マスクやサングラスなどを使って防御したりすると良いでしょう。
ポイント5 発症時は暗く静かな部屋で安静にする
片頭痛が生じた場合は、暗く静かな部屋で安静にしましょう。
片頭痛は光や音によって痛みが増してしまうことがあります。
また体を動かすことでも痛みが強くなります。 このため、片頭痛が起こってしまった場合は速やかに音や光のさえぎられたリラックスできる部屋で体を休めましょう。
ポイント6 発症時は痛む部位を冷やす
片頭痛が発症した場合は患部を冷やすことで痛みが和らぎます。
額やこめかみ、首筋などの痛む部位を冷たいタオルや冷却シートなどで冷やすと、血管が収縮し、痛みが和らぎます。
ポイント7 投薬治療を行う
片頭痛がつらい場合は我慢せず、鎮痛剤などを服用しましょう。
しかし市販の鎮痛剤を週に複数回飲むような状況が数カ月続くような場合は医療機関を受診してください。
自己判断で鎮痛剤を飲み続けることでかえって頭痛が増えたり痛みが慢性化したりする場合があります。
片頭痛の投薬治療には、急性期治療と予防療法があります。 急性期治療は頭痛の発作が起こったときに薬で鎮める治療です。 軽度から中度の片頭痛には主に鎮痛剤が用いられます。
中程度以上の片頭痛や鎮痛剤の効果が十分ではなかった場合などには、血管を収縮させて痛みを和らげるトリプタン製剤が用いられます。 また吐き気止めや漢方薬などが処方される場合もあります。
予防療法は片頭痛の発作を起こりにくくする治療で、頻度が高い場合や症状が重い場合に行われます。 片頭痛発症抑制薬を数カ月間継続的に服用し、効果が不十分な場合や薬が合わない場合は皮下注射治療や抗CGRP関連抗体薬などが用いられます。
いずれの治療も片頭痛発作の回数や痛みの程度などに応じて用いる薬品の種類などが変わるため、医師の診断が欠かせません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。 片頭痛は、ストレス・生活習慣・環境・食事など、さまざまな要因が重なって発症します。 自分の「トリガー」を把握し、予防と発症時のケアをセットで行うことが、痛みを減らす第一歩です。
主なポイントをまとめると次の通りです: 睡眠の過不足を避け、生活リズムを整える 飲酒・喫煙を控え、血管への負担を軽減 チョコ・チーズ・赤ワインなどトリガー食品を見直す 気圧・気温・光・音など環境ストレスを管理する 発症時は「暗く・静かに・冷やして安静」が基本 改善しない場合は、医師の診断を受けて薬物療法へ
片頭痛は“我慢する”より“理解してコントロールする”ことで確実に軽減できます。