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疲労回復するには?回復のためのポイントや疲労の影響について解説

メディパレット編集部

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疲労回復するには?回復のためのポイントや疲労の影響について解説

「疲労回復には何をしたら良いんだろう?」

日々の疲れがたまる一方でなかなか回復しない、とお困りの方も多いのではないでしょうか。

疲労がたまっている状態では、思考能力や注意力の低下の他、動作が緩慢になったり、行動量が低下したりすることがあります。

また目のかすみや頭痛、肩こり、腰痛といった症状が現れる場合もあります。

疲労は、これ以上活動を続けると心身に悪影響を及ぼす、という体に備わった警報の一種ともいえるでしょう。

このような状態に陥らないためにも、疲労をためずに回復させる方法を知りたいものですよね。

この記事では、疲労回復のためにできる日常生活でのポイントについて解説します。

1.疲労とは

「どうして疲れがたまると、こんなにつらいんだろう……」

このようにお悩みの方も多くいらっしゃるでしょう。

疲労とは心身への負荷が大きいことにより活動能力が低下した状態のことです。

体を守るために、心身の活動を制限するサインとしての役割を果たしているともいえるでしょう。

疲労の蓄積は思考能力や注意力の低下、動作緩慢、行動量の低下などを招きます

また目のかすみや頭痛、肩こり、腰痛などの症状が現れる場合もあります

この章では、疲労の基礎知識について解説します。

1-1.疲労の種類

パソコンの前で目頭をおさえる男性

疲労は「末梢性疲労」と「中枢性疲労」に分類されます。

末梢性疲労は、体を動かし続けることで生じる体の疲れのことです。

体を動かす際には、体内の糖質や脂質がエネルギーとして使われます。

このため体を動かし続けると筋肉に蓄えられたエネルギーが枯渇し、筋肉のパフォーマンスが低下します。

また運動によって筋肉が傷つけられると炎症が起こり、筋肉痛として疲労の症状が現れます。

筋肉が緊張した状態が続くと、血流が悪くなり酸素や栄養素が筋肉の細胞へ届きにくくなります。

その結果、回収されるはずの疲労物質がたまってしまうのです。

一方、中枢性疲労は心理的・精神的な疲れで、脳の疲れと表現することもできます

強いストレスや緊張を感じる環境に身を置いた後に感じる疲れは、中枢性疲労に当たります。

脳や体をどれだけ使ったかということと、中枢性疲労の度合いは比例しません。

ストレスによる刺激が大きくなると脳細胞がダメージを受け、疲労を感じるようになるといわれているのです。

メモ
末梢性疲労と中枢性疲労とは別に、うつ病や睡眠障害、炎症性疾患、ホルモン分泌異常など、病気が原因で疲労が生じることがあります。病気が引き起こす疲労は休息などでは回復せず、病気そのものの治療が必要になるため注意が必要です。

1-2.疲労発生のメカニズム

肩に手をあてる女性

心身にかかる負荷は体のさまざまなはたらきに影響を及ぼし、疲労という状態を招きます

疲労が起こるメカニズムには、自律神経や活性酸素、サイトカインによる炎症および神経伝達機能の低下などが関係していると考えられています。

自律神経とは、意思とは関係なく体の機能を調節するためにはたらく神経の総称です。

活動時・緊張時に優位になる交感神経と休息時・リラックス時に優位になる副交感神経に分けられ、疲労のメカニズムには副交感神経の機能低下が関連すると考えられています。

活性酸素は呼吸で取り込まれた酸素が体内で化学反応を起こす際に発生する物質で、他の物質を酸化させる強い作用を有します。

激しい運動やストレスなどで過剰に活性酸素が発生すると、体内の細胞が傷つけられ老廃物が出ます。

その老廃物から疲労物質が発生し、脳に伝達されることでヒトは疲れを感じるといわれています。

また、細胞が傷つけられるとサイトカインが分泌されて炎症が起こり、さらに細胞が傷つけられるといったように疲労が蓄積されていきます。

サイトカインとは、免疫系の細胞から分泌され細胞間の情報伝達を担うたんぱく質のことで、なかには体内で炎症を引き起こすものがあります。

疲労はさまざまな要因で引き起こされるものなのですね。

自律神経について、活性酸素についてはそれぞれ以下の記事で解説しています。

自律神経とは何?乱れる原因、症状とバランスを整えるポイントを解説

活性酸素とは?体内でのはたらきや増え過ぎた場合の健康への悪影響

2.疲労回復のためのポイント

「疲労から回復するにはどうしたら良いのかな?」

疲れがたまっている状態は心身に良くないと分かっていても、疲労回復の方法が分からないという方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、疲労回復のために日常生活のなかでできるポイントを解説します。

疲労回復のためにお役立てください。

ポイント1 質の高い睡眠を十分にとる

羊のアイマスクとミスト

疲労から回復する上で最も重要なのが質の高い睡眠を十分にとることです。

睡眠には肉体的な疲労だけでなく、脳の疲労を回復する上でも非常に重要なはたらきがあります

睡眠においては、量(時間)だけでなく、質(睡眠休養感)も重要です。

睡眠休養感とは睡眠で休めていると感じられる感覚のことです。

適切な睡眠時間は成人では6〜8時間とされており、6時間以上の睡眠を確保することが勧められています[1]。

ただし必要な睡眠時間は人によって異なるので自分にとって十分な時間眠ることが重要です。

なお、休日に長く眠る「寝だめ」は平日の眠気解消には効果がなく、メリットが小さいことが分かっています。

休日に長く眠る必要があると感じる場合は平日の睡眠時間が不足しているサインと考えられるため、睡眠時間を見直しましょう。

「では、どうしたら睡眠の質を上げられるのかな……」

このようにお悩みの方もいらっしゃるでしょう。

睡眠の質を高めるためには、以下のとおり環境づくりを行うことが有効とされています。

睡眠の質を高める環境づくりのポイント

厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」をもとに執筆者作成

環境づくりに加えて、規則正しい食事や適度な運動なども睡眠の質を向上させるのに効果的です。

また、カフェインやお酒、たばこに含まれるニコチンは睡眠の質を低下させる可能性があるとされています。

睡眠休養感が得られないと感じている人は、これらの生活習慣を見直してみてくださいね。

睡眠の質を向上させる方法については以下の記事で解説しています。

睡眠の質を上げるには?生活習慣・寝室・嗜好品についてポイント解説

[1] 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023

ポイント2 体に必要な栄養素を十分に摂る

炊き込みご飯メインの和食

疲労回復には食事も重要です。

体に必要な栄養素はいずれも不足すると体の不調を引き起こすため、疲労の原因になりかねません。

エネルギー源となる炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質はいずれも重要ですが、特に糖質の不足は疲労感や集中力低下の原因となります

また疲労からの回復に特に重要だとされているのがビタミンB群です。

ビタミンB群には体内でエネルギーを生み出す際に重要なはたらきをしているものが多くあります。

なかでもビタミンB1は糖質からエネルギーを生み出す上で不可欠な栄養素で、不足すると神経や脳に悪影響を及ぼすといわれています。

糖質やアルコールを多く摂るとビタミンB1の必要量は増加するため、このような食生活を送っている人は特に注意が必要です。

栄養バランスのとれた食事については以下の記事で解説しています。

栄養バランスの取れた食事とは?主食・主菜・副菜のポイントを紹介

ポイント3 湯船につかる

湯船につかっている女性の後ろ姿

湯船につかることも疲労回復には有効だと考えられています。

お湯につかることにはリラックス効果があります。

また水圧によるマッサージ効果や、温まることにより血行が促進されて疲労物質が排除されやすくなります。

筋肉や関節も軟らかくなるため、体の疲れをとるにも効果的なのです。

就寝前の入浴には寝付きを良くする効果があるという報告もあり、入浴は睡眠の質を高めるにも有効と考えられています[2]。

ただしお湯の温度が高過ぎると逆効果なので、適温のお湯につかることが重要です。

入浴の効果については以下の記事で解説しています。

入浴の効果とは?疲労回復や快眠のための入浴のポイントを紹介!

[2] 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023

ポイント4 就寝前にストレッチを行う

肩にてをあてる女性の後ろ姿

就寝前にストレッチを行うことも疲労から回復し翌日に疲れを持ち越さないために有効だと考えられています。

ストレッチとは意図的に筋や関節を伸ばすことで、体の柔軟性を高める運動のことです。

ストレッチには、リラクゼーション効果もあると考えられています。

ストレッチは大きく、「ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)」と「スタティックストレッチ(静的ストレッチ)」に分けられます。

運動後のクーリングダウンとしても行われるスタティックストレッチは、筋肉を伸ばして一定時間静止するストレッチで、柔軟性を高める他、筋肉の緊張を和らげたり副交感神経を優位にしたりする効果があるとされています。

ストレッチの効果については以下の記事で解説しています。

ストレッチの効果とは?おすすめメニューや効果を高めるコツも紹介

ポイント5 適度に体を動かす

ウォーキングしている男性の後ろ姿

ウォーキングなどの軽い運動には、睡眠の質を上げ疲労を軽減する効果があると考えられています。

時間の目安としては、1日60分程度体を動かすことが理想的だといわれています[3]。

ただしこの目標を達成できないからといって諦めるのではなく、少しでも多く定期的に体を動かす機会を持つことが睡眠の質の向上だけでなく健康増進の観点からも重要です。

またウォーキングなどはストレスの発散にも有効だといわれています。

このため体の疲れが出ない程度に、無理のない範囲で運動習慣をつくることが勧められます。

ただし、就寝前1時間以内の激しい運動は睡眠の妨げになると報告されているため、運動は就寝の2〜4時間前までに終えるようにしましょう[3]。

ウォーキングについては以下の記事で解説しています。

ウォーキングの正しいやり方とは?健康的に痩せたいなら必見!

[3] 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023

3.疲労回復についてのまとめ

疲労はこれ以上活動を続けると、害が及ぶという体に備わったある種の警報といえます。

疲労が生じた状態では思考能力や注意力、行動力の低下などのさまざまな症状が現れます。

疲労回復のためにはまずは質の高い睡眠を十分にとることが欠かせません

また体に必要な栄養素を十分に摂取することも重要です。

その他、湯船につかったり、就寝前にストレッチを行ったりすることも有効だと考えられています。

なお適度に体を動かすことも疲労回復に役立つといわれています。

疲労回復のためにできることから始めてみてくださいね。


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執筆者 メディパレット編集部

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