血管迷走神経反射とは?症状や原因、対策のためのポイントを解説
「血管迷走神経反射って何だろう?」
「血管迷走神経反射が起こったらどうしたら良いのかな……」
血管迷走神経反射とは、さまざまな要因によって自律神経のバランスが崩れて心拍数が低下し、失神に至ることをいいます。
血管迷走性反射が起こっても、体の状態は比較的回復しやすいといわれています。
しかし失神後に転倒するとけがをする恐れがあるため注意が必要です。
この記事では血管迷走神経反射の症状や原因、メカニズム、対策のポイントについて解説するので、ぜひ参考にしてくださいね。
1.血管迷走神経反射とは
血管迷走神経反射とは、さまざまな要因により「自律神経」のバランスが崩れて失神に至ることをいい、「血管迷走神経性失神」などと呼ばれることもあります。
交感神経が刺激されると心拍数や血圧の上昇などを招き、副交感神経が刺激されると心拍数や血圧の低下などが起こります。
「迷走神経」は副交感神経の一種で、胸部や腹部などに分布しています。
痛みなどの刺激やストレスを受けて迷走神経が反射的にはたらくと、心拍数や血圧の低下が起こり、最終的に失神に至ります。
血管迷走神経反射は本来、生命を維持するために備わっているいわば防衛反応ですが、過剰に反応することでさまざまな問題を招くのです。
血管迷走反射は、心拍数が一時的に低下し失神に至る「心抑制型」、一時的な血圧低下のみで失神に至る「血管抑制型」、心拍数と血圧が共に低下する「混合型」があります。
日本では、血管抑制型や混合型によって失神が起こることが比較的多いといわれています[1]。
[1] 国立国際医療研究センター 国際感染症センター トラベルクリニック「事故防止のための環境整備・スタッフ教育〜アナフィラキシー/血管迷走神経反射を含めて〜」
1-1.血管迷走神経反射の症状
血管迷走神経反射では突然失神する場合と、失神前に前触れ(前駆症状)を自覚する場合があります。
主な前駆症状は頭が重い感じ、頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)、腹痛などです。
症状の程度に差があるものの、患者の多くはこれらの症状を自覚するといわれています。
この他、目の前が真っ暗になる眼前暗黒感を感じたり、血の気が引く、冷や汗が出るといった症状が現れたりすることもあります。
1-2.血管迷走神経反射の主な原因
血管迷走神経反射の原因には、身体的・精神的によるものと環境によるものがあります。
身体的・精神的要因は、長時間の立位や座位姿勢、痛みなどの刺激、睡眠不足、疲労、恐怖などの心身のストレスです。
なかでも血管迷走神経反射は、長時間の立位が引き金となって起こりやすいとされています。
朝礼などで立ったままの姿勢が続いた際に突然倒れるといったケースは、大部分が血管迷走神経反射によるものだといわれています。
また、注射の際の痛みなどの刺激や強い恐怖心によって起こることもあります。
さらに人混みの中や閉鎖空間などの環境も要因の一つです。
このため、通勤時の満員電車内で起こりやすいといわれています。
2.血管迷走神経反射が発生するメカニズム
血管迷走神経反射は、自律神経のバランスが崩れることが原因で起こります。
自律神経は体内・体外の環境に合わせて自動的にバランスを取ることで、体の状態を調整しています。
呼吸や消化、拍動といった無意識でも止まることのない体の機能は、主に自律神経のはたらきによるものです。
長時間の立位や心身のストレス、人混みといった刺激を受けると、交感神経の緊張が低下し副交感神経の一つである迷走神経のはたらきが激しくなります。
例えば長時間の立位では、おなかより下の方に血液がたまりやすくなるため、心臓に戻る血流量が減少し血圧が低下します。
血圧の低下が起こると、交感神経は心臓を盛んに動かして血圧を上げようとしますが、心臓のはたらきが活発になると、今度は反対に血圧を下げる副交感神経である迷走神経が刺激されます。
このとき迷走神経が強くはたらき過ぎると血圧や心拍数が大幅に低下し、脳の血流が悪くなるために失神に至るのです。
血管迷走神経反射は本来、生命を維持するために備わっている反応であるため、状況によっては健康な方にも起こり得ます。
3.血管迷走神経反射の対策のポイント
「血管迷走神経反射を防ぐ方法ってあるのかな?」
「血管迷走神経反射が起こったらどうしたら良いんだろう」
血管迷走神経反射はストレスや疲労、長時間の同一姿勢などが原因で起こります。
この章では、日常生活で気をつけるポイントや症状が出た場合の対処法をご紹介します。
ポイント1 十分な睡眠をとる
血管迷走神経反射を防ぐには、十分な睡眠をとるようにしましょう。
睡眠が不足していたり、疲れがたまっていたりすると、迷走神経反射が起こりやすいとされています。
睡眠には、日々の心身の疲労を回復する役割があります。
このため十分な睡眠時間を確保するようにしましょう。
必要な睡眠時間には個人差がありますが、6〜8時間が目安とされています[2]。
また、睡眠によって休養が取れている感覚(睡眠休養感)も重要です。
日中に体を動かして適度に体を疲れさせることで、寝つきが良くなり睡眠の質が高まります。
一方、飲酒や喫煙、カフェインを含むコーヒーなどの摂取、スマートフォンの使用などは睡眠を妨げる原因になるため、就寝前には控えるようにしましょう。
[2] 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023 睡眠に関する基本事項(案)」
ポイント2 ストレスをためない
血管迷走神経反射を防ぐには、ストレスをため込まないことが大切です。
ストレスを解消する方法はさまざまです。
運動にはネガティブな気分を発散させたり、心身をリラックスさせたりする効果があります。
特にウォーキングなどの有酸素運動がおすすめです。
1日20分を目安に軽く汗ばむ程度の散歩をすると良いでしょう[3]。
この他に、音楽を聴いたり歌ったりすることも効果的です。
自分の気分に合った音楽を選び、リラックスした時間を送るようにしてくださいね。
[3] 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023 睡眠に関する基本事項(案)」
ポイント3 長時間同じ姿勢を続けない
血管迷走神経反射を防ぐには、長時間同じ姿勢を続けないことが重要です。
長時間の立位や座位が続くと迷走神経反射が起こりやすくなります。
このため適度に体を動かし、同じ体勢が続かないようにしましょう。
立ったまま足を動かす、足を交差させて組ませる、おなかを曲げてしゃがみ込む、両腕を組み引っ張り合うといった動きによって血流を良くすることも効果的な予防法です。
また日頃から血流を良くするストレッチをすると良いとされています。
ストレッチをする際には伸ばしたい部位を意識しながら、痛くなく気持ち良い程度で、最低20秒伸ばすことがポイントです[4]。
ストレッチ中は呼吸を止めないように意識してくださいね。
[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「ストレッチングの実際」
ポイント4 前駆症状が出たらしゃがむ・横になる
血管迷走神経反射の前駆症状を自覚したら、しゃがんだり横になったりして対応しましょう。
血管迷走神経反射の主な前駆症状は、頭が重く感じる、吐き気がする、血の気が引く、冷や汗が出るといったものです。
失神により転倒するとけがをする恐れがあります。
このため横になったりしゃがんだりすることで、けがから身を守ることができます。
また、立っている場合は足だけ動かす、座っている場合は足を交差させて組むなどの対応により、血流が改善し回復が見込めます。
ただし、無理のない範囲で取り組むようにしましょう。
4.血管迷走神経反射についてのまとめ
血管迷走神経反射は、さまざまな要因により自律神経のバランスが崩れ、失神に至ることです。
身体的・精神的要因には、長時間の立位や座位姿勢、痛みなどの刺激、睡眠不足、疲労といった心身のストレスなどがあり、人混みの中や閉鎖空間などの環境も要因の一つです。
これらの要因により交感神経の緊張の低下、副交感神経である迷走神経の高まりが起こると、血圧や心拍数が大幅に減少し、脳の血流が悪くなり失神に至るのです。
迷走神経反射を防ぐには十分な睡眠をとること、ストレスをため込まないこと、長時間同じ姿勢を続けないことが重要です。
また血管迷走神経反射では多くの場合、失神前に前駆症状を自覚するといわれています。
主な前駆症状は、頭が重い感じや頭痛、吐き気、嘔吐、腹痛などです。
これらの前駆症状を自覚したら横になったりしゃがんだりすることで、転倒によるけがを防ぐようにしましょう。
この他立ったまま足を動かす、足を交差させて組ませる、おなかを曲げてしゃがみ込む、両腕を組み引っ張り合うといった血流の改善を促す動作を行うことで、予防や回復に努めましょう。
血管迷走神経反射は生命を維持するための反応であり、健康な方にも起こり得ます。
血管迷走反射を予防するためにこの記事を参考にしてくださいね。