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成長ホルモンと睡眠の関係は?年代別の成長ホルモンのはたらきを解説

「成長ホルモンは寝ている間に分泌されるって本当なのかな?」

「成長ホルモンはどんなはたらきをするんだろう……」

このような疑問を持っている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

成長ホルモンは脳下垂体で作られるホルモンで、生涯を通じて分泌されます

寝ているときに多く分泌されることが分かっており、子どもの成長に寄与する他、成長が終わった後もさまざまなはたらきをします

この記事では成長ホルモンと睡眠の関係、年代別の成長ホルモンのはたらきを解説します。

深い睡眠を得るためのポイントや成長ホルモンの分泌異常によって起こる悪影響も紹介しているのでぜひ参考にしてください。

1.成長ホルモンと睡眠の関係

成長ホルモンは脳の下垂体(脳下垂体)でつくられるホルモンで、生涯を通じて分泌されます。

成長期には骨の成長を促し、身長を伸ばします

成長期が終わってからは脂肪や筋肉ではたらき、「代謝」の調整、筋肉量や身体機能の維持などの役割を担います

代謝とは
吸収した栄養素をエネルギーや体の維持に必要な物質に変えるはたらきのことです。

成長ホルモンは睡眠時に最も多く分泌されることが分かっています

特に睡眠サイクルの最初に訪れる「ノンレム睡眠」時には、1日の分泌量の多くが分泌されます。

ノンレム睡眠とは
レム睡眠と対になる睡眠段階の一つです。睡眠中は深い眠りであるノンレム睡眠と、浅い眠りであるレム睡眠が90〜120分周期で交互に訪れます[1]。

そのため成長ホルモンの分泌を促すには入眠時にいかに深いノンレム睡眠を確保できるかが重要です。

「寝る子は育つ」という言葉には医学的な裏付けがあるのですね。

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「ノンレム睡眠

2.年代別の成長ホルモンのはたらき

成長ホルモンは生涯を通じて分泌され、体にさまざまな影響をもたらします。

この章では年代別の成長ホルモンのはたらきをご紹介します。

2-1.成長期

ランドセルを背負った走って行く子どもたち

成長ホルモンは子どもの成長に深く関与しています

成長ホルモンは骨の先端近くにある軟骨や肝臓に作用し、「成長因子」の産生を促します。

成長因子とは
成長ホルモンの分泌や細胞の増殖を促すたんぱく質の一種です。

この成長因子のおかげで骨が成長し、身長が伸びるのです。

もっとも子どもの発育には個人差があり、遺伝や体質の影響を強く受けます。

子どもの身長が気になる場合は成長曲線をチェックしてみると良いでしょう。

成長曲線は男女別に子どもの身長や体重を記録したものを集め、年齢別に平均値や標準偏差値を割り出したグラフです。

成長曲線

厚生労働省「成長曲線を描いてみましょう」をもとに執筆者作成

このグラフでは50のラインが標準とされ、ほとんどの子どもが3〜97の間に入ります[2]。

身長が3〜97の曲線から大きく外れていない限り、基本的に問題はありません。

ただし、グラフの一番下の曲線を下回っている場合は低身長の場合があります[2]。

また身長が標準以上でも伸び率が極端に鈍化する場合は何らかの問題がある可能性があります

成長曲線と照らし合わせて気になる点があったら、一度小児科の受診をおすすめします。

成長曲線は以下の日本小児内分泌学会のサイトでダウンロードできます。

日本小児内分泌学会

[2] 一般社団法人 日本小児内分泌学会「低身長

2-2.成人後

スーツの男性

成長ホルモンは体の成長期以降からもさまざまな形ではたらきます。

成長ホルモンは脂肪を分解したり、肝臓で作られた「コレステロール」の取り込みを促したりすることで血中のコレステロール値を下げます

コレステロールとは
人体に存在する脂質の一つです。20〜30%は体外から取り入れられ、70〜80%は肝臓などで合成されます[3]。細胞膜やホルモン、胆汁酸を作る材料になりますが、過剰もしくは不足すると動脈硬化の原因になります。

また筋肉量の維持、骨の健康維持など、体にとって重要なはたらきを担っています

さらに肌の新陳代謝を活発にするはたらきも持っているため、健康的な肌をキープするのにも一役買います。

成長ホルモンは健康的な体を維持する上で重要なものなのですね。

[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「コレステロール

3.深い睡眠を得るためのポイント

成長ホルモンの分泌を促すには入眠時に深いノンレム睡眠を確保することが重要です。

そのためこの章では深い睡眠を得るためのポイントを五つご紹介します。

ポイント1 規則正しい生活を送る

アナログな目覚まし時計 

深い睡眠を得るには規則正しい生活を送ることが重要です。

特に毎日の就寝時間が乱れていては深い睡眠を得ることはできません。

規則正しく同じ時間に眠ることが重要な理由は「体内時計」にあります

体内時計とは
地球上の生物が昼夜の変化に同調するため、体内環境を変化させる機能のことです。ヒトの体内時計は約25時間で周期します[4]。

体内時計は睡眠のタイミングを決め、それに備えてホルモンの分泌や生理的な活動を調整します。

こういったはたらきは自分の意思ではコントロールできません。

そのため日々寝起きする時間がバラバラだと体が睡眠に備えることができず、深い眠りに就くこともままならなくなります

[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「概日リズム睡眠障害

ポイント2 適度な運動を行う

ジョギングしている女性の後ろ姿

習慣的に適度な運動を行っていると寝付きが良くなり、深い睡眠が得られます

激しい運動はかえって睡眠を妨げることがあるので、体への負担が少ない「有酸素運動」がおすすめです。

有酸素運動とは
筋肉を動かすエネルギーとして糖質、脂質と共に酸素を使う運動のことです。筋肉にかかる負荷が比較的軽いのが特徴で、ウォーキング、ジョギング、水泳などがこれに該当します。

運動を行うタイミングにも気を配るとなお良いでしょう。

就寝の約3時間前に有酸素運動をすると眠りに就きやすくなります[5]。

これは眠気が脳の温度が低下するときに生じやすいためです。

運動をすると体温と共に一時的に脳の温度が上がり、就寝時の脳の温度の低下量が運動しなかった場合よりも大きくなります。

このため就寝3時間前の運動により上質な睡眠が期待できるのです[5]。

ただし就寝直前に運動をすると体が興奮してしまうので、注意してくださいね。

[5] 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣

ポイント3 入浴するタイミングを工夫する

入浴している女性の後ろ姿

睡眠の質を上げるには入浴するタイミングを工夫することも重要です。

就寝の2〜3時間前に入浴すると、床に入ったときの脳の温度の低下量が大きくなるため、寝付きが良くなります[6]。

脳の温度を一時的に上げることで眠気を生じさせるメカニズムは運動と同じですね。

眠りの深さだけを考えるなら就寝直前に熱めのお湯につかり、体温を2度ほど上げると良いとされています[6]。

しかし体にかかる負担が大きく、寝付きが悪くなる可能性があるため、あまりおすすめはできません。

体温が0.5度上がるだけでも寝付きに対する効果はあるとされています[6]。

メモ
38度のお湯で25〜30分、42度のお湯なら5分程度湯船につかると体温を0.5度上げることができます[6]。

あまり体温を上げることを意識し過ぎず、自分に合った入浴の仕方を選ぶと良いでしょう。

[6] 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣

ポイント4 就寝前はスマホやパソコンの使用を控える

寝ながらスマホをみている人

入眠が妨げられることがあるので、就寝前にはスマホやパソコンの使用を控えましょう

これらの機器から発せられる光にはブルーライトが多く含まれています。

ブルーライトは眠気を引き出す「メラトニン」というホルモンの分泌を抑制し、覚醒を促します

これから眠るというときにスマホやパソコンを使ってしまうと、かえって目がさえてしまうのですね。

ポイント5 就寝前の喫煙、飲酒は控える

水割りと葉巻

就寝前の喫煙、飲酒は睡眠の質を下げるため控えましょう

たばこに含まれるニコチンには覚醒作用があります

このため就寝前に喫煙すると深い睡眠が減る他、寝付きが悪くなったり「中途覚醒」が増えたりします。

中途覚醒とは
眠っている最中に目が覚めてしまうことを指します。

ニコチンの覚醒作用が弱まるには2時間程かかることから、就寝直前に限らず夜間の喫煙は控えた方が良いでしょう[7]。

また、習慣的に喫煙をしている方がたばこを控えると不眠になりやすいことも分かっています。

アルコールは一時的に寝付きを良くし、睡眠の前半では眠りを深くしてくれます。

しかし睡眠の後半の質は著しく低下し、飲酒量が多いほど中途覚醒も増えます

また、睡眠薬代わりにアルコールを摂取し続けていると、アルコールを飲まなくては容易に眠りに就けない体質になってしまうこともあります。

4.成長ホルモンの分泌異常によって起こる事態

成長ホルモンが正常に分泌されないとどうなるのでしょうか。

この章では成長ホルモンが不足した場合と、過剰分泌された場合に起こる異常を解説します。

4-1.成長ホルモンが不足した場合の異常

成長ホルモンの分泌が不足すると、体の成長や代謝などに異常が生じます。

子どもの頃に成長ホルモンが十分に分泌されないと骨がよく伸びず、身長が低いままになります

このような病気を「成長ホルモン分泌不全性低身長症」といいます。

重度の場合、乳幼児期からの成長障害がみられ成長に伴って進行する傾向があるといわれています。

成長ホルモンの分泌不全は仮死状態で生まれた場合や、脳下垂体付近に腫瘍ができた場合に起こるといわれていますが、大部分は病因がはっきりしていません。

また、成長ホルモンがほとんど出ない重度の成長ホルモン分泌不全症では、成人後に「成人成長ホルモン分泌不全症」を招きます。

子どもの頃に成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断を受けたことがある場合や、下垂体周辺の脳腫瘍により発症することがあります。

成人成長ホルモン分泌不全症では、「メタボリックシンドローム」に似た体の異常やQOL(生活の質)の低下などが現れます

メタボリックシンドロームとは
おなかに脂肪が多く付く内臓肥満に高血圧や高血糖などが組み合わさることで、心臓病や脳卒中が起こりやすい状態を指します。

このような症状から、女性の更年期障害や単なる老化現象と間違われることがあるため注意が必要です。

この他、成長ホルモンが出なくなると集中力・記憶力の低下、疲れやすくなる、孤独を感じることが多くなるなど、精神面にも悪影響が及ぶことがあります

4-2.成長ホルモンが過剰分泌された場合の異常

成長ホルモンが過剰分泌される「先端巨大症」ではあごや鼻、手足などが大きくなります

また頭痛や月経不順、糖尿病や高血圧などになりやすい他、汗の量が増えたり、視野に障害が出たりします

この病気は脳下垂体にできる「良性腫瘍」が成長ホルモンを過剰に分泌することで起こります。

良性腫瘍とは
増殖スピードが緩やかで転移する心配もなく、重大な結果を及ぼすことがない腫瘍のことです。

先端巨大症による外見の変化はゆっくりと進むため、本人や家族が気付かないことがあります

あごや鼻、手足の肥大化といった外見の変化の他、下記のような異常が複数みられる場合は先端巨大症の疑いがあるため、注意しましょう。

【先端巨大症が疑われる異常の一例】

  • 頭痛がする
  • 視力が下がった
  • 視野が狭くなった
  • 歯並びが悪くなった
  • いつも手が汗ばんでいる
  • 指輪や靴が入らなくなった

5.成長ホルモンと睡眠の関係についてのまとめ

成長ホルモンは脳の下垂体でつくられるホルモンです。

生涯を通じて分泌され、子どもの成長に寄与する他、成長が終わってからも脂肪の分解や筋肉量の維持、骨や肌の健康維持といったはたらきに関わります。

成長ホルモンは睡眠時に多く分泌され、特に睡眠サイクルの最初に現れる深いノンレム睡眠時に1日の分泌量の大半が分泌されます

そのため成長ホルモンをしっかり分泌するには深い睡眠を得ることが重要です。

深い睡眠を得るポイントとしては毎日同じ時間に就寝すること、適度な運動を行い、入浴するタイミングを工夫することなどが挙げられます

就寝前の飲酒や喫煙、スマホやパソコンの操作は深い睡眠の妨げになることがあるため控えましょう。

子どもの頃に成長ホルモンが十分に分泌されないと背が低くなります

また成人後に分泌が不十分だとメタボリックシンドロームに似た体の異常やQOLの低下を招くことがあります

逆に成長ホルモンが過剰に分泌されるとあごや鼻、手足などが異常に成長してしまいます。

良質な睡眠を得て成長ホルモンを正しく分泌させるために、ぜひこの記事役立ててください。