胃痛や下痢が続く?ストレス性胃腸炎の代表的な症状と対処法を解説
「ストレスを感じるとお腹が痛くなる」「胃がムカムカして食欲がない」――そんな経験はありませんか? 実は、精神的なストレスが胃や腸に直接影響を及ぼすことがあります。それが「ストレス性胃腸炎」です。 この病気は、目に見える炎症やウイルス感染がなくても症状が現れる「機能性消化管障害」の一種であり、現代社会で増加傾向にあります。
この記事では、ストレス性胃腸炎の代表的な症状とされる「機能性ディスペプシア(FD)」と「過敏性腸症候群(IBS)」について詳しく解説します。 あなたの胃腸の不調がストレスと関係しているのか、理解を深めるきっかけになるでしょう。
ストレス性胃腸炎の代表的な症状
ストレス性胃腸炎は精神的ストレスによって引き起こされる胃腸障害で、「機能性消化管障害」の一つとされています。 食物や病原菌、ウイルスなどが原因となる一般的な胃腸炎に対し、機能性消化管障害は「明らかな疾患がないのにもかかわらず慢性的に胃腸の症状をきたす疾患」であり「腹部症状や徴候があるのにその原因が不明である疾患」です[1]。
このように特定の原因が見当たらない疾患の場合、ストレスが症状のきっかけになっているケースが少なくありません。 また一般的な胃腸炎で腸内環境が崩れた結果、神経的な制御が影響を受けて(制御力が乱れて)ストレス性の胃腸炎につながることもあります。
なおストレス性胃腸炎は、主に胃の症状を中心とする「機能性ディスペプシア(FD)」と、腸の症状を中心とする「過敏性腸症候群(IBS)」に分けられます。
機能性ディスペプシア(FD)の症状
明らかな原因が見当たらないのに胃が痛んだり不快感を感じたりする場合、機能性ディスペプシア(FDの可能性が考えられるでしょう。 具体的な症状としては以下のようなものが挙げられます。
- 吐き気
- 嘔吐
- 胃もたれ
- 食欲不振
- 胃酸過多
どのような症状が現れるかは人それぞれです。 ただし「心窩部痛(みぞおちが痛い)」「心窩部灼熱感(みぞおちが焼ける)」「食後膨満感(食後に胃がもたれる)」「早期膨満感(すぐに満腹になる)」の四つの症状のうち、どれか一つ以上の症状が6カ月以上前に発症して、慢性的に続く(目安として3カ月以上)場合は機能性ディスペプシア(FD)と診断されます[2]。
過敏性腸症候群(IBS)の症状
明らかな原因はないのにおなかの痛みや不快感があり、便秘や下痢を伴う場合は過敏性腸症候群(IBS)が疑われます。 具体的には最近の3カ月間で、以下のうち一つか二つ以上の項目に当てはまる腹痛が週に平均1回以上続く場合、過敏性腸症候群(IBS)です。
- 排便と関連する
- 排便頻度の変化と関連する
- 便の形状の変化と関連する
なお便の形状により、過敏性腸症候群(IBS)IBSは以下の四つに分類されます [3] 。
便秘型
腸がけいれんを起こすことで便秘気味になり、さらに腹痛の症状を伴います。排便するには強くいきむ必要があり、排便しても残便感が残ったり、痔の発症につながることもあります。下痢型
激しい腹痛に下痢の症状が加わります。排便後は症状が治まりますが、1日のなかで何回も症状を繰り返すこともあります。混合型
上記の下痢型と便秘型を交互に繰り返している状態です。分類不能型
下痢や便秘以外、例えば膨満感や腹鳴(おなかがなること)、不意のガス(おなら)などが症状として現れるケースは、分類不能型に割り振られます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。 ストレス性胃腸炎は、明確な原因が特定できないにもかかわらず、胃痛・下痢・食欲不振などの症状が慢性的に続くことが特徴です。
主に「機能性ディスペプシア(FD)」と「過敏性腸症候群(IBS)」の2タイプに分けられ、ストレスの影響が大きいとされています。 症状のパターンを理解しておくことで、病院を受診するタイミングや生活改善の方向性をつかみやすくなります。