蕁麻疹が出る原因とは?誘因や背景因子を詳しく紹介する医師監修記事
蕁麻疹の原因は一つではなく、食べ物や薬、外的刺激、さらにはストレスなど、さまざまな要因が関係しています。 その日の体調や免疫の状態によっても発症しやすさは変化し、同じ人でも症状の出方が異なることがあります。
この記事では、蕁麻疹の主な原因を「直接的誘因」と「背景因子」に分けて解説します。 どんなときに発症しやすくなるのか、体内でどのような反応が起きているのかを知ることで、再発予防や生活改善のヒントが得られるでしょう。
蕁麻疹の主な原因
「蕁麻疹の種類」で説明したとおり、蕁麻疹にはいくつもの原因があります。「蕁麻疹診療ガイドライン」にはこの原因(病態に関与する因子)を次のように分類しています。
蕁麻疹の病態に関与する因子 1.直接的誘因(主に外因性、一過性)
- 外来抗原
- 物理的刺激
- 発汗刺激
- 食物
食物抗原、食品中のヒスタミン
仮性アレルゲン(タケノコ、もち、香辛料など)、食品添加物、サリチル酸 - 薬剤
抗原、造影剤、NSAIDs、防腐剤、コハク酸エステルバンコマイシン、など - 運動
2.背景因子(主に内因性、持続性)
- 感作
- 感染
- 疲労・ストレス
- 食物
抗原以外の上記成分 - 薬剤
アスピリン、その他のNSAIDs、アンジオテンシン転換酵素阻害薬、など - IgEまたは高親和性IgE受容体に対する自己抗体
- 基礎疾患
膠原病および類縁疾患
造血系疾患、遺伝的欠損など
血清病、その他の内臓病変など日内変動
秀 道広 他「蕁麻疹診療ガイドライン 2018」 日本皮膚科学会雑誌,128(12), 2503-2624,(2018)を参考に執筆者作成
直接的誘因について
直接的誘因とは、皮膚と接触する、もしくは体内に取り入れるとすぐに蕁麻疹を発症するものです。 原因と蕁麻疹との関連が比較的はっきりしているものということになります。
特に多いのがアレルギー性蕁麻疹の原因となるアレルゲンで、これには食物や薬剤などが含まれます。 接触蕁麻疹の原因となる物質、例えばゴムや金属などもアレルゲンです。
コリン性蕁麻疹の原因となる発汗刺激や、食物依存性運動誘発アナフィラキシーの原因となる運動、物理性蕁麻疹の原因となる各種の物理的な刺激も直接的誘因に含まれます。
背景因子について
背景因子とは、直接的誘因の影響を受けやすくするものです。 アレルゲンを排除しようとする「IgE抗体」や、なんらかの病原体への感染、特定の食物や薬剤、基礎疾患などのことですが、ストレスもこのなかに含まれます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。 蕁麻疹の原因は、外的な刺激による「直接的誘因」と、体の内側の状態に関わる「背景因子」に大別されます。 食べ物や薬、金属、汗、ストレスなどが複雑に関係し、どれか一つの要因だけで発症するわけではありません。
要点を整理すると以下の通りです。
直接的誘因:食物・薬・物理的刺激・運動など 背景因子:ストレス・疲労・感染・免疫異常・基礎疾患など ストレスは蕁麻疹を悪化・誘発させる要因のひとつ