あなたの蕁麻疹はどのタイプ?主な種類と見分け方をわかりやすく解説
一口に「蕁麻疹」といっても、その原因や発症の仕組みによってさまざまな種類があります。 食べ物や薬、汗、摩擦、寒暖差など、日常のあらゆる刺激がきっかけとなることもあります。 中には原因を特定できない「特発性蕁麻疹」もあり、適切な治療や予防のためには自分の症状タイプを理解することが大切です。
この記事では、アレルギー性・物理性・コリン性など主要な蕁麻疹の種類を詳しく紹介します。どのタイプに当てはまるのかを知ることで、適切な対処の第一歩となるでしょう。
蕁麻疹の種類
ひとくちに蕁麻疹といっても、さまざまな種類があります。 公益社団法人日本皮膚科学会の「蕁麻疹診療ガイドライン」では、蕁麻疹の種類を次のように分類しています。
蕁麻疹の主な分類 I.特発性の蕁麻疹
- 急性蕁麻疹(発症後6週間以内)
- 慢性蕁麻疹(発症後6週間以上)
II.刺激誘発型の蕁麻疹
- アレルギー性の蕁麻疹
- 食物依存性運動誘発アナフィラキシー
- 非アレルギー性の蕁麻疹
- アスピリン蕁麻疹(不耐症による蕁麻疹)
- 物理性蕁麻疹(機械性蕁麻疹、寒冷蕁麻疹、日光蕁麻疹、温熱蕁麻疹など)
- コリン性蕁麻疹
- 接触蕁麻疹
III.血管性浮腫
- 特発性の血管性浮腫
- 外来物質起因性の血管性浮腫
- ブラジキニン起因性の血管性浮腫
- 遺伝性血管性浮腫
IV.蕁麻疹関連疾患
- 蕁麻疹様血管炎
- 色素性蕁麻疹
- Schnitzler症候群およびクリオピリン関連周期熱症候群
秀 道広 他「蕁麻疹診療ガイドライン 2018」 日本皮膚科学会雑誌,128(12), 2503-2624,(2018)を参考に執筆者作成
私たちが一般に蕁麻疹と聞いて想像しやすいのは、上記のうち「II. 刺激誘発型の蕁麻疹」に相当するものです。 以下に、「II. 刺激誘発型の蕁麻疹」について説明します。
アレルギー性の蕁麻疹
アレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)に触れる、もしくは体内に取り入れることで発症する蕁麻疹です。
食物依存性運動誘発アナフィラキシー
特定の食べ物を摂取してから数時間(通常は2時間以内)に運動をすることで発症する症状で、蕁麻疹や喘息様症状などがあります。 この蕁麻疹はアレルギー性蕁麻疹と異なり、食べ物の摂取だけでは症状が起こらないことがポイントとなります。 運動ではなく、入浴によって発症することもあります[1]。
非アレルギー性の蕁麻疹
造影剤の静脈注射をはじめ、サバやタケノコといった一部の食品を摂取した際に発症することがある蕁麻疹です。
アスピリン蕁麻疹
アスピリンなどの非ステロイド系消炎鎮痛薬を服用することで発症する蕁麻疹です[1]。
物理性蕁麻疹
ひっかく、こするといった機械的擦過や、圧迫、寒冷・温熱、日光、振動といった物理的な刺激によって発症する蕁麻疹です [2] 。
コリン性蕁麻疹
汗をかくことで発症する蕁麻疹です。発汗を促す「アセチルコリン」という神経伝達物質が関わっていることから、このように呼ばれています。
接触蕁麻疹
皮膚が特定の物質に接触することで発症する蕁麻疹です。接触から数分〜数十分で症状が表れ、数時間以内に消滅するのが特徴です。 このように蕁麻疹にはさまざまな種類がありますが、実は上記のように名前が付いているものばかりではありません。 実際には原因が分からず病名を付けられない蕁麻疹も多くあり、それらは「特発性(とっぱつせい)蕁麻疹」と呼ばれています。
[1] 日本医師会 日医ニュース 健康プラザ No.366「食後の運動にご注意!-食物依存性運動誘発アナフィラキシー-」(2012)
[2] 三原律嗣「蕁麻疹の誘発試験(物理性蕁麻疹,アスピリン蕁麻疹,食物依存性運動誘発アナフィラキシー)」(2009)
まとめ
いかがでしたでしょうか。 蕁麻疹には、アレルギーや物理的刺激、発汗など、実に多様な種類があります。 それぞれ発症のきっかけや仕組みが異なるため、自分の症状に当てはまるタイプを把握することが、再発防止や治療の第一歩です。
要点をまとめると以下の通りです。
蕁麻疹は「特発性」「刺激誘発型」「血管性浮腫」「関連疾患」に分類される 特に身近なのは「刺激誘発型」:アレルギー性、物理性、コリン性など 原因が不明な場合は「特発性蕁麻疹」と呼ばれる
食べ物や薬、ストレスなど、蕁麻疹を引き起こす要因を詳しく理解していきましょう。