ストレスが体に与える影響とは?心身の病気と不調の関係を詳しく解説
ストレスを感じ続けると、心だけでなく体にも不調が現れることがあります。 「最近ずっと疲れが取れない」「眠れない」「胃が痛い」など、思い当たる症状はありませんか? これらは単なる疲労ではなく、ストレスが引き起こす病気のサインである可能性があります。
この記事では、ストレスによって起こりやすい代表的な病気や心身の変化をわかりやすく解説します。 早めに気づくことで、深刻な状態を防ぎ、自分を守る第一歩につなげましょう。
ストレスによって引き起こされる代表的な病気
「ストレスによって引き起こされる代表的な病気にはどのようなものがあるの?」 日常生活を送る上でさまざまなストレッサーによるストレス反応が改善しないまま長期化すると、メンタル面や身体面の病気を引き起こすことがあります。 このようにストレスが要因となり、発症したり慢性化したりする病気の総称が「心身症」です。
身体面に現れる心身症には頭痛、「過敏性腸症候群」「機能性ディスペプシア」などがあります。 過敏性腸症候群は腸に炎症や内分泌異常、潰瘍といった症状はないものの、腹部の慢性的な膨張感や腹痛、下痢といった症状が現れる病気です。
機能性ディスペプシアは胃に異常が見られないものの、胃痛や胃のもたれを感じる病気のことです。 また精神面では気分がひどく落ち込んだり、何かをする気力がなくなったりする状態が続く「うつ病」や、トラウマ体験を繰り返し思い出されたり夢に現れたりする「PTSD」などがあります。
自分のストレスに気付くためには?
「自分のストレスに気付く方法ってあるの?」 日常生活にはさまざまなストレッサーがありますが、自分がどれくらいストレスを感じているのか分からないという方もいらっしゃるかもしれません。
ストレス反応を慢性化させてうつ病や高血圧などの病気を引き起こさないためにも、自分のストレスに気付く方法を知りたいですよね。 ここからはストレスを感じたときに現れるサインやそのサインの段階を紹介します。
ストレスサインを確認する
ストレスをためずに上手に付き合うためには、自分のストレスに気付くことが重要です。 ストレスを感じているときに現れる「ストレスサイン」を知っておくことで、自分のストレスにいち早く気付けるでしょう。 ストレスサインは心と体、行動に現れ、以下のようなものがあります。
【ストレスサイン】
- 心のストレスサイン:不安、緊張、イライラ、悲しみ、憂鬱(ゆううつ)感、無力感、無気力など
- 体のストレスサイン:食欲不振、痩せる、不眠、腹痛、頭痛、動機、血圧上昇など
- 行動のストレスサイン:消極的になる、人との関わりを避ける、飲酒、喫煙の増加、落ち着きがなくなるなど
このようなストレスサインに自分で気付くことができれば、適度に休息をとってストレスを発散できるようになります。 また、友人や家族のストレスにもいち早く気付けるようになるでしょう。 ストレスサインの症状が2週間以上続くようであればうつの疑いがあるので、精神科や心療内科など専門家にできるだけ早く相談してください[1]。
ストレスに対する適応反応を知る
自分のストレスについて知るために、適応反応について知りましょう。 適応反応とはストレスを受けたときに現れる症状のことです。
ストレスを受け適応反応が起こることを「適応症候群」と呼び、さらに全身に反応が起こったものを「汎適応症候群」と呼びます。 この汎適応症候群には大きく分けて三つの段階があり、それぞれの段階によって心身に現れる適応反応が異なります。
【汎適応症候群の段階】
- 警告反応期:ストレスを初めて受けて、何らかのサインが体から出ている段階
- 抵抗期:ストレス状態がさらに続いており、体が抵抗を続けてストレスと戦っている段階
- 疲弊期:ストレスを受け続け疲れ切って、ストレスに対する抵抗力が衰えている段階
警告反応期にはまずストレスを受けて身体の反応性が低下する「ショック相」、次にストレッサーを継続して受けることで生命を守るための防御姿勢である「反ショック相」という状態になります。 ショック相では交感神経の活動が抑えられ、体温が低下したり低血圧になったりし、反対に反ショック相では交感神経の活動が活発化して、呼吸や心拍数の増加や血圧が上昇します。
抵抗期は「副腎皮質ホルモン」の分泌によって体の抵抗力を高め、ストレスとのバランスを保っている段階です。 抵抗期に無理をしなければ次の疲弊期に進まずに済むこともあります。
抵抗期ではストレスに対する抵抗力は高いものの、心身の活動が活発になるため、休みとのバランスを上手に取れなくなると疲弊期に移行してしまいます。 抵抗期では主に高血圧や胃潰瘍が発症する場合もあります。
また疲弊期はストレスに対する抵抗力が衰えることで、心拍や血圧、体温などが低下といったショック相の際に見られる症状が現れます。 あまりにもストレスの量が多いと最悪の場合死に至ることもあります。 ストレスの蓄積によって死に至るといった最悪の事態を回避するためにも、ストレスに対する適応反応を見逃さず、早めの対処をする必要があるといえるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。 ストレスは一時的なものと考えられがちですが、放置すると心や体にさまざまな病気を引き起こします。 代表的なものには、以下のような症状があります。
心の病気: うつ病、PTSD、無気力・不安感など
体の病気: 過敏性腸症候群、機能性ディスペプシア、頭痛、高血圧など
また、ストレスの段階(警告反応期・抵抗期・疲弊期)を知ることで、自分の状態を客観的に理解できます。 「最近ずっと疲れている」「何もやる気が起きない」と感じたら、それはストレスのサインかもしれません。 早めの休息や相談が、心身を守る最善の方法です。